しぶさわ忍法帖

しぶさわレーニン丸のネタ帳です。

勉強をする理由(中高生向け)

 僕は中学時代、同級生の大半が嫌いだった。僕がいわゆる進学校と呼ばれる高校に入学した理由の大部分がそれだった。「こんな人間と同じと思いたくないし、思われたくなかった」と思わなければ勉強なんてしなかっただろう。勉強は何より、自分を自由にするための手段だった。暴力的な父親から、自慢ばかりする嫌味ったらしい教師、まともに席に座ることもできない不良たちから逃げるために、僕は勉強していた。その結果、地元から電車と徒歩あわせて30分ほどの距離がある進学校に入学できた。今思えば電車で30分ほどの距離なんてちっぽけなものだったが、当時の僕にとって、そのちっぽけな30分の距離が周囲の人間から逃げるためには十分な距離だった。

 では、周囲から逃れるために入学した進学校はどうだったか。結果から言うと、ただ一点を除いて、中学高と大して変わりはなかった。相変わらず授業時間に騒ぎ立てる生徒と、口うるさい教師はどこにいても変わらないんだなと思い知らされた。では、何が決定的に違ったか。奴らは勉強ができたのだ。それも僕よりも圧倒的に。入学後初の中間考査は320人中下から数えて30番目ほどの順位で、勉強ができると思っていた僕は絶望に打ちひしがれた。中学で唯一同じ高校に入った友人は(確か)上から数えて50番目くらいだったため、より一層絶望した。僕は勉強も嫌いになった。

 勉強が嫌いになった、と言っても本を読むのは好きだった。中学時代になってから読書をするようになっていた僕は、高校に入ってからはゲーテとかドストエフスキーみたいな、世界的文豪の小説を(現実逃避のためでもあったが)とにかく読み漁った。まあ読んでいた小説の内容の大半は、主人公が進学校で落ちぶれて自殺する話や片思いに破れて自殺する話、悪人を殺し、その罪悪感に主人公が大変悩んだ末、最終的に罪を告白する話、という感じのいわゆる「暗い」ものばかりで、そんなものを読んではずっと「死にたい、死にたい」と思っていた。今から考えてみても、なんとも救いようがない人間だと思う。

 しかし、僕が本を読み始めた本当の理由は、小学生時代の恋愛にある。中学に入るときに選んだ塾は、その子が入塾していたからという理由で選んだし、本を読み始めたのもその子が小説を読んでいたからというものだ。なんともアホみたいな理由だ。最初はその子が好きだったホラー小説(山田悠介とか)を読んでいたが、そのうち伊坂幸太郎を読むようになり、高校に上がる頃に、さっき言ったゲーテとかを読み始めるようになった。

 確かに現実逃避の手段ではあったが、やっぱり小説は面白かったし、好きだった。小説で描かれている時代や社会が違えども、「人間思い悩むことは大抵同じなんだな」と確信を得ることができたのは僕の中では大きかった。大学に行きたいと思うようになったのは、まさにこうした文学の研究がしたいと思ったからだ。だから大学は、文学の研究さえできれば別にどこでもよかった。それでも、国公立の方が金がかからないという理由と、私立の大学は生徒数が多く、教授と話せる時間が短いという理由で、地元の某国公立大に進学することにした。まあ、今思えば教授はもう少し選んだ方がよかったなとは思うけれど。

 さて、今僕は「研究」という言葉を使った。そう、大学では勉強というよりは研究の方が重要になる。勉強は自分を自由にするための手段、とさっき書いたけれど、まさに勉強は手段なのだと思う。学校のテストのために勉強し、資格を獲得するために勉強し、入試試験に合格するために勉強する。でも、研究はそうではない。研究は自分で何をするかを決めなくてはいけない。自分で「ここの何が間違っているか」を言い当て、「これは何々だ」と決めなくちゃいけない。正直言って、かなりしんどい作業だ。しかし魅力もある。自分で真理を見つけた(と思えた)ときは、本当に嬉しい。もしかしたら自分の研究が、これまでの歴史を塗り替えることになるかもしれないのだから。

 とまあ、ここまでつらつらと書き連ねてきたが、僕が言いたいことはたった一つで、もしこれを読んでいるのが中高生なら、何か面白いと思えることがあったら、それをやった方がいいということ、そしてこれを読んでいるのが親御さんなら、子供に「勉強しろ」とか「いい大学に行きなさい」みたいなことは言わない方が得策だ、ということ。僕はたまたま片思いと人間嫌いがかぶさって勉強するようになっただけで、「勉強は楽しい! やっぱり勉強していて良かった!」だなんて口が裂けても言えないし、さらにそのうえ親から「勉強しろ」だなんて言われていたら、もしかしたら高校で自殺していたかもしれない。勉強を取り柄にした方が確かにいいかもしれないけれど、それだけだと勉強を失ったときに何も残らない人間になってしまうかもしれない。

 

 〜〜中高生にオススメの本〜〜

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

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片思いに破れた僕とまさに同じ境遇!鬱!

 

車輪の下 (新潮文庫)

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進学校で落ちぶれた僕とまさに同じ境遇!鬱! 

 

罪と罰〈上〉 (新潮文庫)

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 人殺しはしていないけどずっと罪悪感に苛まれていた僕に致命傷を与えた本!鬱!

 

変身 (新潮文庫)

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カフカ読むなら『変身』から(短いし)。個人的には『城』が一番好き。 不条理に振り回される人間って、儚くも美しい。

 

自殺について 他四篇 (岩波文庫)

自殺について 他四篇 (岩波文庫)

 

 正直高校生の僕にはちっとも訳がわからなかった本1。自殺は生きたい欲望の裏返しだ、みたいなことが書いてあったと思う。

 

死にいたる病 (ちくま学芸文庫)

死にいたる病 (ちくま学芸文庫)

 

 正直高校生の僕にはちっとも訳がわからなかった本2。今では最良の恋愛入門書だと思っている。 中高生じゃなくても読んでほしい本。