シャルル・フーリエ『産業的協同社会的新世界』読書メモ(1)
しぶさわです。
今回は空想的社会主義者として名高いシャルル・フーリエ(1772〜1837)という社会思想家の、
『産業的協同社会的新世界』という、タイトルからしてヤバい本を紹介します。読書メモ代わりなので、込み入った話はあんまりしません。ちなみに副題も含めると、『産業的協同社会的新世界、つまり、情念系列のうちに配分された、魅力的自然的産業の方法の発見』という長ったらしいタイトルになります。
そしてあえて一言でこの本をまとめるなら、「こういう社会共同体を作ればみんなハッピーになるよ☆」っていう手引書みたいなものです。
まあとりあえず、その序文から見ていきましょう。
序文
錯乱の兆候、転倒した世界
お、おう…(困惑)なんかすでに序文のタイトルだけでやばいにおいがプンプンしてますが、本文に入っていきましょう…
第一項
概説および予備的概念金持ちとの結婚、遺産相続、散官につくといった運命のめぐりあわせによって収入を倍にしようとする願いほど、普遍的な願いはない。そして、各人みなの収入を、実質的価値において二倍どころか四倍に高める方法が見いだされたならば、こうした発見は、きっと、万人の目をひくに最も値するものであろう。(田中正人訳「産業的協同社会的新世界」『世界の名著42 オウエン サン・シモン フーリエ』中公バックス,P.441)
もうなんか怪しさしかない書き出しですが、実際彼は一部の熱心な信者を除き、彼が活動していたパリでは嘲笑の的(「パレ・ロワイヤルの狂人」)でした。ファランジュという、1500人から2000人、理想は1620人で構成される農業共同体(彼によるといろいろな理論的背景はあるが割愛)を作ろうと出資者探しに明け暮れて死去した人物です。
フーリエは、産業が発達し、各人がバラバラになった社会で、再び人と人とを協力させるような関係を作らねばならないと奮起し、情念系列(人と人とを結びつける力)という概念を編み出し、人のあらゆる感情を理論的に秩序立てて(実際彼は「移り気概念」という、人は同じことをずっとしていると飽きるといった感情も理論化させていました)組み合わせれば完璧な社会を理論的に実現できると考えたのです。だから、彼が「空想的」と形容されるのは結構な誤解を含む表現です。……もうこの辺でお腹いっぱいでしょうか?
次回からちゃんと読んでいこうね!(読んでいくにしても内容が内容過ぎて多分すぐパンクしそう)